注意文 このテキストは1SSの主催者の1人である、鈴木一成によるトーク時のメモに修正・加筆を加えたものになります。トークの書き起こしではございませんので、ご了承ください。

※※※以下敬称略で失礼いたします※※※

ゲストスピーカー:山崎雄策氏(SUNDAYで展示中の作家)・平野倫氏(SUITE IMAGE)
進行:鈴木一成(Gallery OUT of PLACE)

S:日頃から感じていた写真についてのあれやこれを話したいなと考えていた。ゲストの山崎さんとは2014年の写真新世紀が出会い。平野さんが運営しているWEBマガジン「アパートメント」では不定期連載をしている。3人(+α)でアパートメントで写真に付いて話すUSTをやったことがある。今回、山崎さんがここ(SUNDAY)で個展を開催していたのでそのUSTの続編と言う形でのトーク。

現代アートって言う切り口から、写真っていうメディアを語りたい。なぜか現代アートの中でも分かりにくいとか、特別なメディアとして語られがちだし、最近ではアナログvsデジタル論とか、少しばからしいと感じている。そもそも画家も彫刻家も…皆アーティストと呼ばれる。(現代アートでは)日本では写真家と言う言葉が一人歩きしている。なので大前提として、そこから(写真って)から話し始めてみようと思います。

個人的にはロラン・バルトの明るい部屋で言われた写真とは「それは=かつて=あった」という言葉。それは即ち「いまはそこにはない」というある種の死を意味している。と解釈出来る。「思想のための挑発的資料」として発刊された『provoke』(プロヴォーク)の最終刊のタイトル「まずたしからしさの世界をすてろ」の意味。眼前に有るのは確かなものなのか?本物なのか?そう言うものを突きつけてくる。写真は何を写して、何を伝えないのか? というのを考えるようになった。

山崎さんと出会った写真新世紀。日本ではおそらく1番の公募展、だが、写真という言葉の呪縛から逃れられないでいる。しかし山崎さんの作品は「写真じゃないな?」と感じた。

山崎さんは何故新世紀ではプロジェクターのみの作品展示だったのか?

Y:個人的には銀塩、インクジェット、モニター、プロジェクターの選択肢が全て等価であった。その数ある選択肢からプロジェクターを選んだだけ。そもそも前職(卒業写真アルバムの制作会社)ではデジタルーデータ(プリントのこともあった)で貰う。それらをモニターで作業していた。年間6000校位の作業をしていると人が形でしかなかった。大げさに言えば金閣寺も人の顔も形でしかない。写真はフォルムしか写さないという考え方に仕事を通して出会った。そう言う事をやっていると、それがプリントでもデータでも関係なく。そもそもオリジナルってなんだ?と思うようになった。そう言う数あるアルバムの中でも自分が作業したものを見つけるとグッと来るものがあった。自分と紐づいたものは解除出来ないと考えるようになって、そういうことに興味を持つようになった。

H:いまでもちゃんとアルバムつくるの?CD-R一枚みたいなのもあるの?

Y:有ると思います。やめてから結構立ってるんで…

S:簡単に作品の説明お願いします。

Y: パッと見、回顧主義的なオーソドックスな写真に見えますよね?もしかしたらモニターの作品だけ違和感有るかも?でもよく見ると少しづつおかしな事になってるんですよ。こうやって作品が並んでいると、観る人の作法は決まってくる。デジタルで撮影してカラーをモノクロに変換して並んだ作品にほんの数パーセントづつ順にエフェクトを掛けTYPE-Cで出力、そうするとほぼ同じ。やってる事がちぐはぐなんですよ。

大きなポートレイト作品。これはどう思います?小保方さんの記者会見の再現なんですよ。その時に上がってくる写真が全部良い写真だったんですよ!記者会見ってそもそもパフォーマンスじゃないですか?

中平さんの植物図鑑のなかでそもそも悲しそうな猫など居ないのだ。ってなかなかのパンチライン。

そうやって何かが紐づいていくんですよ。

横断歩道を渡る一連のスナップ、これは全てのカットで着ている洋服が違うんですね。そうするといちいち着替えて撮影する。っていうちぐはぐ。ストレートな事をしていないんですよね。しかもモノクロにしてそういうことを気付かせることから逃げている。

モニターの作品は、これがあることで対面しているプリントン写真が本来カラーである事にきづく。そしてそれがデジタルデータである事を証明し、モノクロにプリントしている意味、価値をキャンセルしていると考えられる。

S:そもそも今現在ストレートな写真を目にする事があるのだろうか?

H:インスタグラムの様にフィルターをとして加工される。デジタルで有るが故にレタッチをすることを躊躇させないのかな。

S:でもそもそも暗室作業だって作為の塊。とても意識的に作業していた。ただ、それを膨大に複製させる事が困難だった。

Y:てまひまに有り難みが感じられる。

S:平野さん達レタッチャーは暗室作業と同じように手間ひま掛けてやっているはず。なんだけど、インスタグラムのようなフィルターが有ると、みな騙される。

Y:騙される?

S:そういう意識的に手を加えている事とフィルターを選択する事が等価だと勘違いする。

H:僕らが毎日作業しているとやはりそれは写真・画像ではなくなってくる。山崎さんの感覚と同じかな。なので山崎さんの作品を初めて観たとき、「お、これは写真じゃないよな」と思って面白さを感じた。結果翌年から新世紀も映像作品を受け入れ始めたし。笑

Y:エフェクトの問題提起をしているように捉えられる事が多いけど、実は私写真も好きで。今回もモデルは全て恋人で、開かれている場に自閉して行くような状態も好き。要はどちらが良くて、どちらが良くないという両方ともが有りなんです。夜中にやっているカルト映画に嵌まってみてしまうような感じで10人に1人引っかかってくれたら良い。

S:話を展開させますけど。山崎さんはプリントも好きっていうけど、画像は最初にモニターで確認しますよね?個人的にはプリントとモニターって正反対のアクションなんだけど。最初の段階でプリントまで想像します?

Y:したいヤツはします。個人的には「所有」がしたいので。あとモニターだと電気使うなぁって。

S:平野さんは何故WEBマガジン?写真のイメージを良く使うけど?

H:写真て思って使うものと、そう思ってないもののもあります。写真をWEBの中で成立させたいって思いはあります。

S:PDFはプリントアウトさせるため?

H:もちろん!各々の環境で自由に選択して欲しいって思いが有った。プリントもモニターもどちらでも構わない。

S:現状としては僕たちは多くの写真をモニターで見る事が自然なのに、写真展にいくと皆プリントしている。でも彼らも制作はデジカメで、モニター観て作業してる。なのに…そろそろモニターで展示する人出て来ても良いはず。モニターで観て、制作してモニターでフィッニッシュする。

Y:モニター事コレクションしてくれれば!とは思います。

お客さま:ツァイト・スライドショー(ナン・ゴールデンや荒木)とかはどうです。

S:あれは個人的には納得している。そもそも写真は光であってそれを光に返すという自然な流れ。一方当時は暗室作業にのめり込んでいる自分もいて、その作為に気付かない観客に面白さを感じても居た。

Y:そういえば僕はKINDLで本読んでるし。そろそろ電子インクみたいな。。

H:紙に出すって作業って凄くクリエイティブ。だからプリントはなくならない。そうすると写真て言うカテゴリーだけでは語れない。

S:山崎さんは先天的にそう言う部分から解放されていて、でも解放されるのがいやだから自分から縛られている。

Y:僕告知の時にあえて変なWEBSITEを作るんですよ。公の場に砂の城を建てるみたいな感覚で。

S:やはり凄い綺麗なプリント観ると感動するしね。実はデジタルでもそういう職人的な作業をへているけど、軽く観られてしまう。作家は軽やかに乗り越えて欲しい。

お客様 : 一番格好良いアウトプットって何なんですかね?

Y:新世紀のとき都写美でやってたフィオナ・タンのモニターの作品。あれは凄く格好良かった。

お客様 : それはモニターが額として成立していた?

Y:そうですね。

お客様: ギャラリーとしてはそういう作品の扱いはどうする?管理とか。

S:一体でコレクションしてもらえば良いけど。ハードに関しては生産者が生産を打ち切らなければなんとかなる。。。はず。。。作家によってはデータのみの場合も有るし。そこにエディションつける。

H: ギャラリーとしてはデータだけより物質として?ってこだわる?

S: データはいつ再現出来なくなるか分からないからそう言う怖さが有る。そこら辺は現在進行形で色々模索しているのでは?

お客様: アーティストからこういう展示方法・環境(OS,ハードの種類)で!っていうオーダーはあるの?

S:作家によっては有ると思いますね。山崎さんのモニターの作品は?

Y:これは販売にはしなかったんですけど。同じ環境なら良いですよね。

S:写真っていうメデイアで考えると今は転換期でアナログからデジタルへ移行するタイミングを体感している貴重な世代なので、ポジティブに考えて作品制作して欲しいなと思います。

H:これからは写真というより、プリント自身が意味を持ってくる時代。

S:絵具を選ぶみたいな?

Y:タイプCとインクジェットでお客様の反応は?

S:3年位前からお客様はその差を感じなくなって来たかな?

Y:タイプCって矛盾してますよね。奇妙なプロセス。効率・再現性などを考えても明らかにインクジェットの方が優れている

お客様: ノスタルジックな気分でフィルム?10年ほどまえからアメリカの美術館ではインクジェットも収蔵するようになって、認知度が上がって来た。

S:ただ経験値としてはタイプCなら経年変化でも何年持って、変化してもこんな感じで格好いいってわかるけど、インクジェットはまだ分からない。

お客様: 撮影している時にサイズの事を考えていますか?

Y:そこまでは考えていないけど観せる時のボリュームによって決める。こんかいポートレイトだけは大きくすると決めていた。けど、このサイズじゃないと駄目みたいなのはない。

S:写真はサイズから解放されてるからね。絵画ではそうはいかない。

お客様: ステイトメントがないのはなぜ? 話を聞いて凄く面白かったのに。それに気付けない人が多いと思うともったいない。

Y: 今回は理解してもらう事より、違和感を持ち帰ってもらうことを優先した。かろうじてタイトルから読み取ってもらえれば…

お客様: 新世紀はカラーだったけど、今回はモノクロですよね?

Y: 個人的な趣味としてモノクロの立て構図が好き。だけど公募だったので伝わりやすい方を選んだ。

お客様: モデルの設定は?

Y: 個人的な好みで…承諾を得て。